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2002年3月号より 特別講演会 「子どもの検診のチェックポイントと子どもの成長について」 ―海外勤務健康管理センター 医学博士 氏田 由可 先生の講演会― 2月14日(木)、横浜労災病院の小児科医であり、JOHAC(労働福祉事業団 海外勤務健康管理センター)の医師である、氏田 由可先生にいらしていただき、上記のテーマで講演会を催しました。 当日は76人のお母さんたちに集まっていただき、先生も1歳3ヶ月になられるお子さんを抱えながらの和やかなムードの中、1時間半ちょっとの講演会となりました。以下に、簡単に内容をご紹介します。 小児の発達と発育 <発達・発育> 発達・発育には、バリエーションがあります。その発達が異常かどうかを見分けるには、ある程度の期間の経過観察等行う必要があります。 発達のチェックKey Ageとしては、 4ヶ月 首のすわり 原始反応 追視 7ヶ月 お座り 視性立ち直り反射 手をのばしてものをつかむ 音に対する反応 10ヶ月 つかまり立ち パラシュート反応 にぎにぎ バイバイ 人見知り があります。これらはすべて母子健康手帳などのチェック項目になっています。時々は、母子手帳をチェックすることが大切だと思います。 <身長> 体重・身長も半年に1回くらいはチェックをし、グラフに記入してみることにより、発達の具合が分かることになります。ボーダーラインから一時的にそれることがあっても期間的にみたときに成長していれば問題はありません。 身長に影響を及ぼす因子として、以下のものがあげられます。 ・遺伝(親の身長):これは4〜5割の割合で遺伝します。 ・食事 ・睡眠:眠りについた30分間の間に成長ホルモンが分泌されます。また一定の睡眠時間を取ることが大切です(9時間以上)。 ・運動:運動することは大切ですが、疲れすぎるほどやるのは逆効果。成長ホルモンの分泌を妨げることになります。 ・病気:病気により食べれない時期があると、身長に伸び悩みがでることがあります。 そして、低身長の子どもへの指導としては、 ・「食べないと大きくなれない」:これは成長ホルモンを投与しても同じです。 ・「タンパク質中心の食事にする」:牛乳では背は伸びません。あげすぎはおなかがいっぱいになり、食べなくなり、鉄分の吸収を阻害するので、貧血にもなります。 ・「十分な睡眠をとる」 以上のことを注意して、定期的に測定して、経過をみることになります。 <言葉の発達> 言葉の発達の見方としては、 ・対人関係や社会性:言葉を発するのが遅いだけでなく、人と目をあわすことができない等、人とのコミュニケーションがとれないときは、自閉症の可能性もあります。 ・言語の理解(簡単な指示の理解・簡単な命令の理解) ・生育歴、育児環境 などがチェックポイントです。精神遅滞・自閉症・難聴などが原因となり、発達が遅れることもあります。しかし、これらに関しては個人差があるので、言葉が出なくても、理解力があれば心配はありません。 子どもがよくかかる病気と対処の仕方 <風邪> 風邪はウィルスによるものなので、対症療法しかありません。なので予防が大切です。抗生物質は、バイ菌に対するものなので、風邪のときには基本的には必要ありません。ただ、風邪のときには抵抗力が弱まっていて、バイ菌が侵入しているときもあります。そんなときは抗生物質が必要です。 バイ菌は熱に弱いものなので、体に侵入したバイ菌を弱めるために体温が上がって熱が出る時もあります。必要以上に解熱剤を使うとバイ菌に対抗しようとしている体の働きを妨げることになります。熱がある時は、なるべく涼しい環境を作って、アイスノンや氷で冷やしてあげましょう。熱性けいれんが頻繁に起こる体質の場合は、解熱剤を使う必要がありますが、1度くらいの熱性けいれんの場合は、使う必要はありません。 また、熱のあるときは、自然と水分が失われていきます。水分補給に気をつけましょう。 また、お風呂に入るといけないと思っている方も多いようですが、ぬるめのお風呂やシャワーをして清潔に保つほうが大切です。 予防としては、手洗い、うがい、また鼻水等はすすらない。(鼻水はかむように練習しましょう。小さくてかめないうちは、鼻水をお母さんが吸い取ってあげるとよいでしょう。)また、目からのバイ菌の侵入もあります。目を洗うことも大切です。 <喘息> 喘息といっても、喘息性気管支炎と気管支喘息があります。アレルギーによるものが気管支喘息で、これは気管支拡張剤や吸入などで治療することになります。風邪などをひいいたときにゼイゼイするのは、喘息性気管支炎であって、アレルギー性のものとは別のものです。 <アトピー性皮膚炎> アトピーは年齢によって原因が異なってきます。乾燥肌で全身がカサカサするのは、アトピー性皮膚炎とはいいません。汗のかきやすい部分などがグチグチしてしまうのが、アトピーといえます。乾燥肌の場合は、石鹸を泡立てて体を洗うと、さらにひどくなります。スポンジ等も使わず、石鹸を手につけてすりこむように洗ってあげるとよいでしょう。 乳児湿疹とアトピーの関連性もないといえませんが、年齢によって体質も変わってくるので、乳児湿疹が出たからアトピーとはいえません。 食物によるアレルギー検査も年齢によって変わってきます。それだけを信じて、食物制限をするのは問題です。これも様子を見て、少しずつ試してみることが大切です。 海外赴任者への提言 ●自分の健康は自分で守る。子どもの健康は親が守る。という自覚を持ちましょう。 ●海外の医療システムを理解し、日本式の医療を求めることの無意味さを知りましょう。 ●情報収集の手段を確保しましょう。 Q&A Q1:風邪で抗生物質を出された際は、どう対処したらいいのか? A1:なぜ抗生剤が出されたかを、担当の先生に確認しましょう。おそらくバイ菌が侵入しているから処方されたと思いますが、お母さんが納得してから子どもに薬を与えるようにしましょう。 Q2:抗生剤の服用する期間が、日本よりも長いと思う。(日本だと3日ぐらいが、タイでは10日くらい。) A2:症状によって、服用期間が異なる。(中耳炎や副鼻腔炎だと長く必要。)日本は医療費も安いことから、3日ごとに来て、またチェックして、再度処方することも可能。タイでは医療費が高いこともあり、まとめて出しているのではないか。先生に確認をして、3日ごとがいいのであれば、それも可能のはずです。 Q3:先生によって薬が異なる。 A3:先生によって、考え方も違うので、誰が正しいとはいえない。先生とお母さんとの相性があると思うので、自分が信頼できる先生を信じるしかない。 Q4:1歳半の子どもがいるが、母乳性貧血かどうかはどう調べるか? A4:血液検査をするしかない。1歳半となれば、母乳から栄養をとるのは難しい。離乳食で栄養をとるように努力するしかない。もし、貧血であれば、鉄剤のものを与える必要がある。 先生の勤務されているJOHAC(海外勤務健康管理センター)のホームページのURLは以下の通りです。インターネットからの相談申込みも可能です。 http://www3.johac.rofuku.go.jp/ |
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